Tの肖像 Tの肖像

Chapter 03 空間の詩人としての
相貌
Face as a poet of the space.

高橋恒夫氏 高橋恒夫氏

ターミナルケアについて

看取りという言葉は、死を意識させる言葉だが、自然界では当たり前のことなのである。それゆえに福祉施設内でのアテンダンスと地域社会との共生を包括する空間を考えることが重要になる。(情報誌『FACE』創刊号 「介護老人保健施設「加瀬ウェルネスタウン」に対する考え方」より抜粋再編集)

「癒し空間」の創出のために

癒しの空間(環境)を表現する二つの要素。一つは「療養者」と「アテンダンスと地域社会」という異なる立場にある人間関係の中での「和」の創出である。精神的交流による信頼関係を構築し、生きる喜びを抱かせ、肉体的苦痛等を和らげる人間的要因に起因するものの解決である。
もう一つは療養者に安らぎと憩いを演出できる空間の提供。これは同一線上にある「もてなしの空間」を構築する際にも発生する建築的課題でもある。
(情報誌『FACE』創刊号 「介護老人保健施設「加瀬ウェルネスタウン」に対する考え方」より抜粋再編集)

日本の侘び寂び

「ストックホルム郊外にある世界遺産『スコーグスシュルコゴーデン(森の墓地)』。自然の森の木々の間に小さい墓標がある。それらは雪が降れば隠れて見えなくなる。私は、この景色に『日本のわびさび』を感じた。海外の風景にそれを感じるのは珍しいことだと思う。」
「夏が短く、太陽がでる季節が一ヶ月しかないスウェーデン。その間は皆、太陽をしっかり楽しんでいる。」
「ムンクの絵画作品『叫び』は北欧の国の人の精神状態をよく表していると思う。太陽が無いというのは肉体的にも精神的にも不健康なのだ。」
(『恒明庵 終の棲家』悠久の静寂の彼方へ「第2章 幼少時から留学時代」より抜粋)

日本の哲学

「持論ですけど、本来は春夏秋冬の中に日本の住宅の佇まいというものがありましたよね。…それから日本の風景には四季がある。それらすべてが日本の哲学そのものだと思うのですね。」『恒明庵 終の棲家』「Talk 医療と福祉と建築 三人の建築家の眼を通して人の終わりを考える」より抜粋)